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2013年06月05日

投球フォームと腕の痛みとの関係

 内野手と外野手が投手に転向したとしたら、どちらが良い投手になれるでしょうか。

 どちらが怪我をしにくい投手になれるでしょうかと言い換えた方がこれからの話のテーマに合っているかもしれません。

 昔の大リーグの投手、例えばボブ・フェラー、ハイキック投法で有名なフアン・マリシャル等は、肘をあまり曲げず腕を伸ばして外野手のような投げ方をしていました。そのためか怪我もしなかったようです。

 内野手のような投げ方というのは、肘を大きく曲げ、肘を背中側にまで大きく引き、肩、肘の回りの筋肉を最大限、利用した投げ方と言えます。内野手はボールを捕球してから如何に短い時間で一塁までボールを投げなければいけません。いくら球が速くても、投球モーションが大きければ、一塁まで到達する時間が大きくなってしまいます。投球モーションが小さくても送球の速度が小さすぎれば同様に時間がかかってしまいます。それで一番時間のかからないフォームに落ち着くのですが、やはり外野手の比べれば肘は曲げ、肘は背中側に大きく引くフォームになります。
 大リーグの投手で言うと、ワシントン・ナショナルズのステファン・ストラスバーグ投手は内野手のような投球フォームだと言えます。そのためか、肘を故障して、トミー・ジョン手術を受けています。

 一方、外野手のホームへの送球時のフォームを見ると、イチロー選手のレーザービームのように体全体を使い、肘はあまり曲げずに腕を伸ばして投げています。軸足に体重をかけ、上体は最初、後に後傾しており、昔の大リーグの投手と似たようなフォームをしています。イチロー選手のレーザービームはアロルディス・チャップマン投手の投球フォームに似ていると昔、書いたことがあります。

 投手は速い球を投げ、かつ投球数が多いので、内野手のような投球フォームでは故障しやすいと言えます。したがって、投手は下半身を大きく使う外野手のような投球フォームの方が怪我をしにくいのではないでしょうか。

 以前から、肩、肘を使わないで下半身で投げた方が球速、怪我、制球すべてにおいて優れていると思っていたのですが、投球メカニクスと腕の痛みとの関係という記事(内野手型と外野手型の投球フォームではどちらが怪我が少ないかという内容)を見かけましたので原文(英語)を翻訳して紹介します。
 この記事ではある本を紹介しているのですが、その本では腕をムチのように使うことの問題点を指摘しています。これはストラスバーグ投手の肘の故障で最近、大きな論争となっている投球時のフォームinverted W(逆W)は肩、肘の故障につながることを指摘していると言ってもよいでしょう。inverted W(逆W)はテイクバック時に両腕を広げたときの形が英語の文字のWを上下逆さにひっくり返した形になっていることで、両肘が両肩を結ぶ線よりも高くなり、両肘が背中側に大きく引かれた形です。この形をとると、投球側の肘がムチのような使い方になり、肩、肘に大きなストレスがかかってしまいます。

The Relationship Between Arm Pain and Pitching Mechanics
投球メカニクスと腕の痛みとの関係

There is no question that throwing an excessive number of pitches beyond one's comfort zone can lead to problems.
快適な範囲を超えて投球数が増えすぎてしまうと問題が生じることに疑いはありません。

Even more impressive is the relationship between the way one throws and the chances of developing shoulder and/or elbow injuries.
さらにもっと印象的なことは投げ方と、肩と肘の両方、あるいはいずれかひとつとの関係です。

This relationship became clear to author Robert Shaw. Shaw observed throwing mechanics of different positions and defined the classic outfielder's pattern and the classic infielder's pattern. He noted that among pitchers who had long careers in Major League Baseball, all threw with a similar fluid motion of the classic outfielder's pattern.
この関係は著者のロバート・ショーによって明らかにされました。ショーはいろいろなポジションの選手の投球メカニクスを観察して、古典的な外野手型、古典的な内野手型を定義しました。彼は大リーグで長い経歴のある選手はみんな、似通った古典的な外野手型の、流れるようなモーションで投球していることに気づきました。

The classic outfielder's pattern maximizes speed and distance in a seemingly effortless long arm delivery with the ball delivered high above the head and the elbow extended and traveling in a "downward plane" in reference to the ground. Pitchers with this delivery mechanism developed good speed on the ball because of the long lever arm. They were also accurate because, with an arc that was vertical to the ground, they did not miss inside-outside and their curve balls were more effective because they dropped. Throwing was smooth with little torque evident on the shoulder or elbow.
古典的な外野手型は、見るからに力んでおらず腕を長く使った投げ方をしていて、スピードと距離を最大限度まで高めています。ボールは頭よりも高いところで投げ、肘は伸ばし、地面に対して下向きな面を腕が移動しています。この投球メカニズム(投球動作の連動)を持つ投手は長い梃子(テコ)のような腕があるので、ボールのスピードをうまく引き出せました。彼らは制球も良かったのです。腕の振りが地面に垂直な円弧を描いているので、内角外角を外すことがなく、カーブボールも良く落ちたので有効でした。投球はスムース(流れるよう)で肩や肘には明らかにトルク(回転力、力のモーメント)はほとんどかかっていませんでした。

The classic infielder's throwing pattern maximizes the quick release of the ball and improves accuracy. It involves a "short arm delivery" where the elbow is flexed and the arm is abducted to 90 degrees. During the acceleration phase, the shoulders "open up" creating a "whiplash" effect in order to generate speed. The potential for injury in this pattern occurs when the scapula (shoulder blade) can go back no farther and the soft tissues of the scapula, elbow, and shoulder are whipped forward under a great deal of stress.
古典的な内野手型はボールをクイックで(素早く)手から離し制球を向上させています。この型は肘が曲がり、腕が90度外転し、短い腕の使い方をしています。加速期には両肩は開き(上体がホームプレートを向く)、スピードを出すために鞭紐(ムチひも)の効果を作り出しています。

Shaw observed a jerking movement that was inconsistent and could not generate great speed without supreme effort—the "whiplash" puts maximum stress on the elbow and the shoulder.
ショーは瞬発的で突然動かすような動作に気づきました。この動作には、持続性がなく(長く続かない)、肩や肘に最大限度にまでストレスを加えて、鞭紐(ムチひも)の効果を極限まで使う努力をしなければ、大きなスピードを生み出せませんでした。

These throwing patterns make it clear that the mechanism of delivery is important. In fact, the incidence of arm and shoulder pain in pitchers with the short arm, infielder pattern was nearly 70 percent while those with the smooth, outfielder pattern was associated with only 20 percent. Robert Shaw's Book: Pitching: Basic Fundamentals, is published by Viking Press and is available through the Library of Congress. It is recommended for relevant exercises that help develop an understanding of the basics in proper throwing. It also will be of interest to serious pitchers as it discusses a successful approach to getting batters out.
これらの投球の型は投球メカニズムが重要であることを明らかにしてくれます。事実、短い腕の使い方をする内野手型の投手は、肩や肘に痛みが発生する症例の70%近くを占めていました。一方、投球動作がスムースな外野手型の投手はわずか20%を占めているだけでした。ロバート・ショーの本:「投球:基本となる基礎」はバイキングプレスから出版されており、国会図書館を通して手に入れることができます。この本には正しい投球の基本を理解したい人に最適な、練習方法も含まれています。また、打者をうまく打ち取る手順も解説してあるので、真剣に投球に取り組んでいる人には興味ある本となるでしょう。

Source: John Albright, MD
情報元:ジョン・アルブライト医師
posted by HANG IN THERE YU at 06:57 | Comment(4) | TrackBack(0) | MLB | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
いつも読ませてもらってます 怪我をしにくいフォームなのですがたしかに今のピッチャーには逆wをつくってムチのようにしならせて投げるピッチャーはいます ただもしその投げ方が怪我のリスクを増加させるのであればダルビッシュ選手なども該当すると思います いまの投手で逆wをつくらないでなげているピッチャーは日本だと内海投手くらいでしょうか メジャーだといまはいるかわかりませんがリーグ投手でしょう 確かに逆wをつくるとしなりをつくりやすくなりますので逆wを経由して投げるとしなりすぎて肩や肘が壊れるということでしょうか? ある著書では逆wを経由してなげるとsscを二回起こしてなげるので球速が上がるうえに筋肉を捻って投げてるので肘には負担がないとかいてあったので 腕が内向き外向き内向きにひねられてる感じです その証拠にリリース直後の手のひらは上をむいています その著書いわく投球は逆wを意識的につくるのではなく下半身が主導することにより勝手に起きるものだとかいてありました だから逆wを経由して投げることは肩にも肘にも悪くないと 管理人さんの意見をお聞きしたいです
Posted by kok at 2013年06月06日 03:56

長身で細身の人に効果的な投げ方のパターンを教えてください!

その他に腕のふりやテイクバックのとりかたはどのようにすれば球速が上がるのですか!
トップは早く高く作れとよく言われます!
Posted by 高校野球 at 2013年06月12日 23:55
 inverted W(逆W)に関する質問に対する回答

大リーグ、日本の投手の投球フォームはどちらも昔の方が、テイクバックで一度、@肘を完全に伸ばすか、A少し曲げる程度にして、それから前腕を素直に立ててトップを作っていたように思えます。
 日本では中日の小松辰夫投手は@肘を完全に伸ばしていました。巨人の投手、槙原、江川、桑田はA少し肘を曲げる程度でした。
 日本の現在の投手は、少なくともエース級の投手では@のタイプは少ないようです。内海投手は@のタイプです。ヤクルトのノーラン・ライアンと言われている小川泰弘投手は@のタイプです。
 楽天、田中投手、広島、前田投手、はダルビッシュ投手のように肘を2塁側に引いて前腕を下に下げるテイクバックの形をしています。
 肘を両肩の高さにまで上げ、肘を少し背中側に引くテイクバックの仕方をinverted L(逆L)と言って、inverted W(逆W)と同様、肘、肩には無理な力がかかります。内野手の送球のように肘をムチのように使う投げ方になってしまうからです。
 肩の手術をしたヤクルトの由規投手も軽いinverted L(逆L)のようなテイクバックをしています。
 変化球を投げるのに肘を使うタイプの投手はそういう投げ方をする人が多いのかなという気が少しします。

 阪神の能美投手、巨人の杉内投手は肘を下げたまま、肘を背中側に引き、肘を体から離さず、骨盤の回転による遠心力で腕を前に振り出す投げ方で、肩、肘に無理なストレスはかかっていないように思えます。
 気が付いたところでは、日本ハムの大谷投手は@のタイプですが、テイクバックで肘の位置が両肩を結ぶ線まで上がっており、少し肩に無理な力がかかっているようです。阪神の藤浪投手のテイクバックはニックネーム通り(浪速のダルビッシュ)ダルビッシュ投手に似ています。
 楽天の釜田投手はinverted W(逆W)になっており怪我が心配です。元楽天の岩隈投手は現在、大リーグで大活躍でサイヤング賞を取りそうな勢いがありますが、投球フォームはinverted W(逆W)のようになっており、楽天時代に肩の故障をしたのはこのせいかなという気がします。
 日本の投手で肘、肩を故障した投手の投球フォームを最近調べているのですが、故障した投手のテイクバックの形を見ると、inverted W(逆W)、inverted L(逆L)、inverted V(逆V)(前側の腕だけ肘が肩よりも高く上がらないタイプで投球側の腕は逆Wと同様)のいずれかに属しているようです。
 inverted L(逆L)にはソフトバンクの斉藤和巳投手、ヤクルトの伊藤智仁投手が属していました。
 大リーグの投手は投球フォームが多彩で、@の投手も現在多くいます。@の投手は球速も高く、inverted W(逆W)が速い球を投げるのに必要というわけではないようです。 
 inverted W(逆W)、inverted L(逆L)、inverted V(逆V)の形を取っている投手に肩、肘の怪我が多いという指摘が多くされています。
 inverted W(逆W)の形を取ると、上腕(肩)が内旋、外旋、内旋という動きを経るので肩の回転は忙しくなります。 肩の腱板にも、関節の周りの靭帯である関節包にも多くのストレスがかかります。
 伊藤智仁投手はルースショルダーだったと言われていますが、それは関節包に無理な力がかかったためではないかと思われます。関節包は一度伸びてしまうと元には戻りにくくなります。そのためか伊藤智仁投手は亜脱臼を起こしました。

 シカゴ・カブスの藤川投手は靭帯が断裂してトミー・ジョン手術を受けました。藤川投手のテイクバックは肘が高く上がり、肘を背中側に引いたinverted W(逆W)の形をしています。

 また、inverted W(逆W)、inverted L(逆L)、inverted V(逆V)いずれにおいても、肩は大きな角度を回転するので、前腕が後に倒れる角度も大きくなり(レイバックが大きい)、前腕が肘を中心に回転する速度も速くなり(加速度が大きくなるのが問題、肘にかかるトルクは加速度に比例するので)、肘の内側の靭帯(肘の外反を防いでいる)に大きな力がかかってしまい、徐々に靭帯にダメージが蓄積されてゆき、いずれ断劽する可能性があります。

 気を付けの姿勢(手の平が体に触れる状態)が肩の中立な状態で、手の平を後に向けると内旋、手の平を前に向けると外旋の状態です。
 ボールのリリースの状態ではゼロ・ポジション(整形外科の用語で、最も肩、肘にストレスがかからないポジション)がふさわしいといわれており、このとき肩は中立な状態となっています。
 腕を上体の軸に垂直にして肘が伸びた姿勢を早めに作る投げ方では、肩の外旋も少なくなります。肘をあまり曲げないで投げれば、肩の内旋、外旋、内旋といった動きも少なくなるので、肩、肘にストレスはかかりにくいと言えます。
 投球というのはゼロ・ポジションに近い状態(前側の股関節を中心とした骨盤の回転を伴うので、両肩を結んだ線上に肘が来る状態)を早く作って、左の股関節、右肩、右肘、手首を結んだ線が弓のようにしなるようにして、左の股関節を中心にこの弓が逆向きになるように投げると、肩、肘にストレスをかけずに投げることが出来、球速も上がります。マリアーノ・リベラ投手の投げ方が良い例です。
 直線的な運動では速度が上がりません。100メートル競走でも秒速10メートル(時速36キロしか出ません)。
 関節を中心に円運動をしなければ球速は上がりません。マリアーノ・リベラ投手の投げ方では左の股関節を中心に、股関節から手までを大きな腕(柳の枝あるいは先細りの釣竿のように)のようにしてスウィングさせていますので、効率的に、安全に、制球も良く投球が出来ています。

 ある著書に、逆wを意識的につくるのではなく下半身が主導することにより勝手に起きるものだというご指摘ですが、これはテニスのサーブと似ているかもしれません。テニスのサーブでは肩を後に引きながら、テイクバックを肘から行なっていて、次に空に向けて肘を投げ出し、肘が伸びながら前腕の回内が起き、最後は手の平が空の方を向きます。投球でも、ストラスバーグ投手のように、前腕を立てて縦に振る投げ方では、人体の構造上、無意識に同じような腕の動きになります。
 肘を直線的に引いてテイクバックを行なえば、自然と逆wのようになります。後は下半身を使ってテニスのサーブのように肘を前に投げ出せば、ムチを振るように肩、肘の関節を動かす筋肉をあまり使わなくても投球は行なえます。テイクバックで逆wの形を取るストラスバーグ投手の大リーグ通算の四球率は2.43/9回と良く、それは肩、肘には力を入れて投げていないせいかもしれません。
 しかし、それとは関係なく、整形外科の医者が、逆wのフォーム自体が肩の回旋筋、関節唇にストレスを与えると指摘しています。また、肘が高速に回転すると肘が伸びたときに骨と骨が衝突して骨棘が出来、それが砕けて関節内で遊離して肘のひっかかり感を与えたり、骨棘が骨折することもあります。中日の吉見投手がそうでした。 
 
 一方、肘をあまり曲げずに、サイドハンドスローのように腕を上体の軸と垂直に振ると、肩の旋回(内旋、外旋)はあまり必要ではなく、前腕の回内動作も少なくなります。

 
 inverted W(逆W)、inverted L(逆L)、inverted V(逆V)は大リーグだけでなく、日本の投手にも当てはまりますので、テイクバックで肘はあまり高く上げず、背中側にも大きく引かず、軸足の蹴り始めから骨盤を回転させて腕に遠心力を与え、肘を早めに伸ばして前腕のレイバック(遅れ)を小さくすることが怪我を防ぐ上で大切です。
Posted by sh at 2013年06月16日 22:57
質問内容:
 長身で細身の人に効果的な投げ方のパターン

回答:
 肩、肘に負担がかからず、外野手の送球のように腕を長く使って投げた方が効果的だと思います。大リーグではマリアーノ・リベラ投手の投げ方は良い参考になると思います。右投手の場合、左の股関節から右肩までを良くしならせ、左の股関節から手までを腕のように使って投げるとゆったりしたフォームなのに球速が出て、怪我もなく、コントロールも良い投球ができると思います。
 その際、骨盤は軸足の蹴り始めから回転させる必要があります。
 球速をさらに上げたければ、軸足の蹴り方をより強くして、重心の位置を少しづつ背中側にずらして行くと、骨盤の回転速度も速くなります。体も最後は一塁側の方を向きますが、重心が背中側にずれ過ぎるとコントロールが悪くなる恐れがあります。
 腕の振りは意識しない方が良いです。何もしないほうが球速は上がります。上に述べたとおりにすれば腕は肩に引っ張られて自然と回転してゆきます。ボールのリリースの直前にボールを直線的に押し出してコントロールを意識することが大事です。
 テイクバックの取り方は腕の力を抜いて肩を中心にボーリングのテイクバックのように腕の重力で自然とスウィングするのが肩、肘に無理がかからなくて良いでしょう。スウィングの大きさはクイックで投げたければ小さめで良いでしょう。

 トップは早く作ったほうが良いというのは正しいと思います。前足を着地したときに前腕が垂直になっている必要があります。
 肘の高さは両肩を結んだ線よりも低めの方が良いと思います。遠心力で自然と両肩を結んだ直線上に来るので。肘は背中側に大きく引いていないことが大事です。肘、肩に無理な力がかかるので。
Posted by sh at 2013年06月16日 23:32
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