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2013年02月11日

大リーグで主流の投球フォームと160キロ右腕大谷翔平投手の投球フォームの比較

 2012夏の大会岩手県予選準決勝一関学院戦で、高校野球最速の160キロを出した花巻東高校の大谷翔平投手の投球フォームを大リーグで主流の投球フォームと比較してみました。
 大谷翔平投手は大リーグ志望で、日本ハムからドラフト1位指名され、本人は当初大リーグを目指すと言っていましたが、結局日本ハムに入団することになりました。どういう投球フォームで160キロを出したのでしょうか。
 日本ハムで投球フォームがどう変わっていくのか少し心配です。斉藤投手は大リーグ的な甲子園時代のすばらしい投球フォームが今は平凡なフォームになっているからです。

 大谷投手には大リーグの優れた投球フォームを参考に進化していってほしいと思っています。日本ハムに大リーグの優秀な投手コーチが来てくれればいいのですが。

前足の膝を伸ばした時の体の重心の位置は球速と大きく関係する

重心の位置と球速の関係
前脚の軸が一塁側に倒れていると球速は最大、3塁側に倒れていると最小
これは、骨盤の回転速度が大きいほど球速が大きくなるからです。一塁側に軸が倒れると骨盤の回転速度が増します。しかし、あまり倒れすぎると逆効果になります。
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大谷投手の腕の角度は上体の軸と90度で、サイドハンドスローの上体の軸を一塁側に傾けた形です。
 したがって、骨盤の回転が速いほど球速が増します。下にある球速160キロ、154キロ、143キロの動画の骨盤に注目すると、骨盤の回転速度が速いほど球速が出ているのがわかります。したがって、重心の位置がいかに大事かもわかると思います。
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豪速球投手ウォルター・ジョンソンのサイドハンドスローのフォーム
このフォームで時速160キロ近い球を投げたそうです
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骨盤を速くしかも十分に回転することが大事なのはバッティングでも同じです。
ホームランバッターはみんな骨盤の回転が速く、しかも骨盤を投手の方向に向くまで、あるいはそれ以上回転させています。

ベーブ・ルースのバッティングフォーム
骨盤がライト方向にまで回転しています。
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王選手の850号ホームラン
骨盤がベーブ・ルース同様に良く回っています。
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 花巻東高校の大谷翔平投手の投球フォーム、時速160キロ
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 前脚の膝が曲がって重心が低く、セットポジションのスタンスはスクエアで打者に背中を向けていない点はオーソドクスなフォームですが、体の重心(ヘソのあたり)の位置を前足よりも1塁側にして、腰の回転は速めで体の正面を最後に1塁側に向ける点はアメリカで主流の投球フォームです。
 右腕の角度は水平から約20度程度と低く、アメリカ式の肩を水平に振り球速を稼ぐことを狙ったフォームなのでしょう。
大リーグの投手で投げ方が似ている投手を挙げるとすれば、ランディ・ジョンソン、ウォルター・ジョンソンです。
 どちらの投手も歩幅ストライドが大きくなく、両足が地面に着いたまま、上半身の捻りを戻し、上半身の軸を中心に腕を回転する投げ方です。腕の角度も上半身の軸に垂直です。打撃フォームに近い投げ方と言えるでしょう。
 打撃の際は前足は前に踏み出しますが、踏み出す距離は小さく両足が同時に地面に着いています。
 両足が同時に地面に着いているので、上半身の捻りを戻すのが容易ですので、肩、肘への負担は小さくなり、怪我をしにくい投げ方と言えるでしょう。ランディ・ジョンソン、ウォルター・ジョンソンとも肩、肘に大きな怪我をしたことがありません。
 特に、ウォルター・ジョンソンはサイドスローなので、肘はほとんど曲げず、肘は故障のしようがありません。
 また腕は上半身の軸に垂直よりも上に上げると体の後ろに腕を引きにくくなり(球面関節である肩関節の構造上可動域が狭いので)どうしても肘を大きく曲げるようになりますので、肩、肘は怪我をしやすいと言えるでしょう。
 サイドスローは最も肘、肩が怪我しにくい投げ方かもしれません。

 花巻東高校の大谷翔平投手の投球フォーム、時速154キロ
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 大谷投手、春の選抜、大阪桐蔭戦、時速142キロ、体が3塁側に流れる悪いフォーム
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 上体が少し前屈みのためか体の重心の位置が3塁側にあり過ぎて、体が3塁側に流れる良くないフォームです。上体が前屈みだと右肩が前に出てしまうので、当然の結果として腕のテイクバックも小さくなってしまいます。前足を着地したときは上体が垂直になっていなければいけません。

 そして着地と同時に背中を少し後ろにそらせて体の重心を一塁側に少しずらすのがアメリカで主流の投げ方のコツです。

 あるいは、クレイグ・キンブレルやジャスティン・バーランダーのように、上体は垂直のままで前足をホームプレート方向よりも少し3塁側に着地して、重心をずらすというやり方もあります。こちらの方が頭が一塁側に大きく流れないので制球は良いようです。
 
 大阪桐蔭戦でのフォームは、重心の位置が悪いため腰の回転が遅くなり、ボールのリリースポイントも左肩に対してあまり前にきていません。球速は上がらず、頭も3塁方向に動くのでコントロールも悪くなり、下半身を利用できず肩、肘を主体にボールを投げることになり故障にもつながります。
 大谷投手が160キロ近い球を投げた時は、上体を起こしていつも体の重心の位置(ヘソのあたり)が左足の位置か、それよりも1塁側にきて最後は上体が1塁側に向く、アメリカで主流の投げ方になっています。


160キロを投げた時の大谷投手のフォームの特徴

@ストライド歩幅が小さく、前足を着地したときにまだ後ろ足も地面から離れず両足荷重になる。
 両足荷重の長所は上体を前に倒すのも、上半身と下半身の捩れを戻すことも、両方力強く行なえる点です。

A前足を着地したとき、体の重心が両足を結んだ直線上ある。そのため、体の重心が動かないのでの回転軸上に重心が来て、腰の回転がスムースに行なえる。

Bセットポジションから前足を上げないで前に踏み出している。
 大谷投手は制球があまり良くないようですが、それは前足を上げたときのフォームのバランスが悪いことが原因かもしれません。今のフォームのままだと前足を上げないほうが良い結果が出るかもしれません。

 タンパベイ・レイズのクローザーのフェルナンド・ロドニーは2012年度、0.60というクローザーの防御率の大リーグ記録を作りました。ロドニーは制球が悪く2011年度の四球率/9回7.9だったのですが、前足を上げない投球フォームにしたせいか2012年度は1.8と劇的に向上しました。それでいて球速は落ちず、最速100マイルを記録しています。

前足を上げないフォームにしてし四球率が7.9から1.8/9回と劇的に向上したロドニー
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 最近はストライドが昔に比べて大きくなり、前足を着地する前に上体が回りすぎて、前足の着地がホームプレート方向よりも1塁側にずれやすくなります。これに、前屈みでの着地が重なると、最近の藤川球児投手のように体の重心が前足の位置よりも3塁側にずれて体が3塁側に流れやすくなり、肩、腕、肘だけで投げてしまう恐れがあります。こうなると球速も出にくくなります。

 藤川球児投手の球威が2006年の調子の良かった時に比べて最近落ちたのは、この重心が3塁側に流れているためだと思います。2006年に比べて2012年の投球フォームでは体が大きく3塁側に流れることが多くなっています。重心は前足の上に来なくてはいけません。このずれが大きいと、体が回転するときの遠心力で、ずれはどんどん大きくなってゆきます。つまり、体がますます3塁側に流れてしまいます。

藤川2006年、時速154キロ、重心(ヘソあたり)は左足の上あたりにくる良いフォーム
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肩の縦回転だけで投げており、横回転も加え、最後は上体が1塁側を向くようになれば球速はもっと上がるでしょう。

藤川2012年、時速141キロ、重心が3塁側に流れている悪いフォーム
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球速は出ないし、制球も悪くなり、肘、肩に負担のかかる投げ方です。下の五十嵐亮太投手と似て大きく体が3塁側に流れています。左足を着地する前から右腕を振り出して左肩が一塁側に開くのが早くなり、左足の着地が一塁側にずれて左脚が3塁側に傾き、体も3塁側に流れています。下の五十嵐投手と似ています。

 藤川投手も大谷投手が160キロの球を投げた時のように、重心の位置を直し上体が最後は1塁側に向くようにすれば、160キロ近くの球速は出ると思います。今は肩の縦回転を主体に投げていて、横回転はほとんど使っていません。そのためコントロールも四球率が2012年度は2.8/9回と悪くはありませんが、リリーフ投手としては良くはありません。横回転を主体にした上原投手は2012年度は0.8/9回と凄い数字を残しています。藤川投手のストライド歩幅は足7個分と大きいのですが、これもコントロールを悪くしている要因かもしれません。

 アメリカに移籍した日本人投手はみんな体が最後は1塁側に向くようにフォームを修正しています。上原投手、黒田投手、斉藤隆投手、ダルビッシュ投手、松坂投手がそうです。
 中でも松坂投手が一番大きく変わっています。コントロール向上とと肘、肩への負担を減らすためだと思います。

 肩の回転方向
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 上体を前に倒し肩を縦に回転させるオーソドックスな方法では球速が出にくく、出てもコントロールが悪くなり、肩、肘への負担も大きいからです。

肩の縦回転が主体の松坂投手の投球フォーム(西武時代、2003年)
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松坂投手の西武時代の四球率は4.3/9回と良くありませんでした。頭が上下に動き過ぎるためだと思います。


肩の横回転を加えた松坂投手の投球フォーム(レッドソックス2012年8月)
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 大リーグに移籍し成功した日本人投手はみんな、肩を水平方向に回転させるために前脚を軸にして上体を1塁側にまで回転させるアメリカで主流の投げ方を取り入れています。
 肩の縦回転、横回転は実際には両方起こっているのですが、選手の好みでどちらに比重をかけるかが異なってきます。
 最近の上原投手は上体をほとんど前に倒さない横回転主体の投球になっています。おそらくコントロールを優先させるためだと思います。上原投手の四球率は0.8/9回と大リーグでも例が無いぐらいの数値です。三振と四球の比率は で大リーグ史上最高です。

肩の横回転が主体の上原投手の投球フォーム
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大リーグでフォームを修正できなかった五十嵐亮太投手(2011年メッツ、94マイル)
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 日本での10年間の四球率は3.8/9回でしたが、大リーグ3年間での四球率は6.3/9回とさらに悪くなりました。
 左肩が1塁側に開くのが早く、左足がホームプレート方向から1塁側にずれたため、左脚が傾き体が3塁方向に大きく流れ、頭が大きく動くためコントロールが定まりません。右足を蹴り出すのと右腕を振り出すのが同時のような感じです。それで左肩が1塁方向に開き、左足の着地位置が1塁側にずれている感じです。右腕を振り出すのを左足が着地するまで我慢すれば、上体の重心(ヘソのあたり)が左足の上に来るようになり、球速も上がり、コントロールも良くなり、大リーグでも成功していたでしょう。球速は今でも十分あるので、フォームを修正して再度、大リーグに挑戦して欲しい選手です。

前足を着地したとき、体の重心が両足を結んだ直線上あることの利点

利点@
 軸足を蹴って体全体が前に移動し、重心が止まる、つまり下半身が止まることで、上半身だけが前に飛び出すので、上体を前に倒して肩を前に出す動きが容易になります。

 車で急ブレーキを踏んだとき、腰にあるシートベルトで下半身の動きが止まるので、上体が前に飛び出し運転手はハンドルに頭をぶつけるのと同じ原理です。もし腰のシートベルトがゆるんでいたら(これは下半身の動きが止まらないこと、重心が止まらないことに相当)、体全体が前に移動し、上体が前に倒れる動きは少なくなります。

 そのためにも重心の動きを止める必要があります。

 両足荷重ではなく、多くの投手がそうですが、前足だけで体重を支える場合には、前足だけでバランスよく立っていられるような位置に重心を持ってこなければいけません。

利点A
 重心が回転軸上にきた時が一番少ない力で体が回転します。フィギュアスケートのスピンでは回転軸上に重心があるのと同じです。

短所:投球モーションの後半、両足荷重では右肩(右投手の場合)を前に出す動きが制限されるので、前足だけの荷重に移行し、左脚を軸にして体全体を回転させ、最後は1塁側に体を向けます。

 回転軸上に重心が来ると回転速度は最大になるのですが、ここで大きな問題が生じます。

 両足荷重の時は回転軸は両足の中間にありましたが、投球モーションの後半に回転軸が左脚に移動しますので、重心を左脚の軸上に移動させる必要がありますので、重心移動が完了するまで回転が円滑ではありません。大きく曲げた左膝を真っ直ぐに伸ばしながら、重心を左脚の軸上に持ってこなければならないのでフォームがぎこちなくなります。また、左膝を伸ばしきる前にボールはもうリリースされているので球速アップの効果は半減してしまいます。

 まだ完成途中のフォームだと思いますが、それでも160キロを出せた他の大きな要因は、アロルディス・チャップマン投手のように脚、腰、肩、腕、手と順番に体を使い、回転速度を効率的に増加させている点です。チャップマン投手のように、前足を着地するまで右腕を振り出さないで粘っています。歩幅を大きくしないで両足荷重であるというのが良い方に作用しているようです。

アロルディス・チャップマン投手の投球フォーム
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 アメリカで主流の投球フォームに近づければもっと球速は増し、制球も良くなると思います。

 こうしたらすぐに大リーグで成功すると思われるフォームの改善点 
 
@セットポジションのスタンスをクローズドに変える(打者に背中をもっと向ける)
 前足を着地したときの上半身と下半身の捻りが大きくなり腰の回転速度が増すので。

A前足を上げないで、全投球セットポジションから投げ、制球を向上させる。

B右膝の曲がりを少なくして蹴り出しの速度を速める。
 バリー・ボンズのような両脚の使い方が理想的。ボンズは膝から下を素早く前に捻りながら強く足を蹴って骨盤を素早く回転させています。

 歩幅ストライドは大きければ良いとは言えません。歩幅が大きいことよりも、強く蹴ることが大事なようです。歩幅は小さくても強く蹴って両足荷重にする方が良いように思います。

 栗山監督の描く大谷投手の将来像はサイ・ヤング賞を5度受賞し、最多奪三振9回、通算303勝を挙げた左腕ランディ・ジョンソンだそうです。
 ランディ・ジョンソンの歩幅は小さく、両足荷重(両足が地面に着いている)で投げて良い成績を残しています。両足荷重はバッティングと同様、上体の捻りを素早く戻しやすく上体の回転を速く出来るという長所があります。

ランディ・ジョンソンの歩幅は小さい
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 大リーグ最速の投手チャップマン投手の歩幅は身長の120%で、19歳の頃のスタンスは今よりも狭く、軸足の蹴り出しも弱く時速は150キロ程度でした。今は平均で98マイル、最速105マイル(時速169キロ)です。
2007年WBCでのチャップマン投手(キューバ代表、対日本戦、19歳)、時速149キロ
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チャップマンの歩幅は身長(6フィート、4インチ、193センチ)の120%で、踏み出すスピードも普通の投手の1.15倍と速い。踏み出すスピードが速いのは良いのですが、歩幅は大きすぎるとコントロールが悪くなるかもしれません。チャップマン投手の2012年の四球率は2.9/9回で昔に比べて格段に良くなったのですが、果たしてこの歩幅でこの数字を2.0/9回まで下げれるかは疑問です。歩幅が大きくなると当然、頭の動きも大きくなるからです。
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B左膝が曲がり過ぎているので、ほとんど曲げないで着地し最後は完全に伸ばす。
 すると、腰の回転速度が速くなります。また、今は曲がった膝を伸ばすときに頭の位置が大きく動きすぎていて、制球を乱す原因になりかねません。膝を伸ばしたままにすると視線の高さが一定となり制球は良くなると思います。
 クレイグ・キンブレル投手の投球フォームを見ればよくわかります。

クレイグ・キンブレル投手の投球フォーム
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posted by HANG IN THERE YU at 22:45 | Comment(4) | TrackBack(0) | MLB | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
本当?

この記事は、どなたが書かれているのですか?
私もこの重心というか臍の位置に着目しています。
投げ終わった後、正面(捕手側)から見ると、前足の方向は捕手側に向き、地面に垂直に膝が乗って、踵と膝が一直線。臍はその踵と膝を結んだ線上よりやや三塁側に位置し、上半身と頭は逆に一塁側にある。
投げた後、身体が三塁側に流れているのが、良くないことを理解できました。
Posted by suさん at 2013年02月05日 10:46
 この記事を書いている者です。コメントどうもありがとう御座います。
 
 私も体の重心の位置は投球、打撃いずれの場合でも非常に大事だと思っています。
 重心の位置は姿勢によっても変化しますが、直立している場合は大体、臍の高さで、腹と背中の表面の中間になると思います。

 軸足を蹴った後、重心はホームプレート方向に直線的な軌道を描きますが、投球ではこの重心の動きを止めることが大事です。直線的な体の運動エネルギーを回転エネルギーに変えるためです。
 回転エネルギーとは、肩を水平方向に回転させるためのエネルギーおよび上体を前に倒すことによって生じる肩を縦方向に回転させるためのエネルギーです。

 重心の動きを止めるには重心の軌道の延長線上に足を着かなければいけません。このようにして足を着くというのは結局、前足一本でずっと立っていられるような姿勢を作ることでもあります。

 両足で立っている時は重心は両足の間にありますが、右投手の場合、前足一本で立っていられる姿勢を作ると上半身の軸は左側、つまり一塁側に傾きます。そして右腕は、球速が出やすく怪我をしにくい、上半身の軸と90度という投手が多いようです。したがって、水平軸からは20度前後となります。日本ハムの大谷投手は20度ぐらいです。

 この姿勢では重心は前足の踵と前足側の股関節を結ぶ線上(つまり回転軸上)にあるので、最も体が回転しやすい体勢です。軸足を蹴って体が回転しながら前足を着地すれば、そのまま勢い良く回転が続きます。もし、着地した前足を強く後ろに蹴れば前足の股関節が重心よりもマウンド側に押し戻されて骨盤が勢い良く回転するので球速が増します。

 これを車のエンジンに例えるならば、前足はピストンロッド、骨盤はクランクシャフトのクランク(運転免許の試験にはL字クランクがあります)に相当します。燃焼室で強い爆発があってピストンロッドが強くクランクを押せばシャフトは高速で回転します。


 球の速い投手の重心のあたりに注目すると、前足を着地した後、重心のあたりが止まっているのがわかります。

 日本の投手は前足を着地して重心が3塁側に流れることが多いようです。重心が流れるということは前足を着地しても、前足は大きな力を受けていないということになり、結局骨盤を速く回転できていません。

 ニュートンによれば、力とは加速度に比例します。

 力=質量×加速度

 つまり、前足を着地した際、急に止まるほど(減速なのでマイナスの加速度)、地面から足は大きな力を受けます。

 3塁側に体が流れるということは、減速が緩いことなので、前足は地面から大きな力を受けられないので、骨盤が速く回転できません。また、先に述べたように、重心の位置が左脚の回転軸上から3塁側にずれてしまうので、体の回転が速くなりません。

 回転のしにくさは専門用語では慣性モーメントで表わします。

 質点m(大きさがとても小さい質量mの物体)が回転軸からrの距離で回転する時、

 慣性モーメントI=r×r×m
で表わせます。

 距離が2倍になれば回転のしにくさは4倍に、3倍では9倍になります。

 質点がたくさんある場合には、慣性モーメントはそれぞれの慣性モーメントの合計となります。


 つまり、体が3塁側に流れると慣性モーメントが大きくなり、体が回転しにくいということです。
 そういう投手の骨盤に注目すると、回転していないことに気づきます。

 また、大リーグの投手では反対に体が一塁側に流れる投手が多いのですが、流れる程度が少ない時には回転はよりしやすくなるのですが、流れる程度が大きすぎる投手は球速が今ひとつ出ていません。

 投手がグラブを抱え込んだままにするのは同じ理由です。
 打者がバットを振りはじめは体の近くに構えるのも同じ理由です。
 フィギュアスケートのスピンで広げた腕を抱え込むと回転速度が速くなるのも同じ理由です。
 したがって、打撃のとき、腕を曲げたままスウィングすると体は回転しやすくなるので、振り遅れしにくくなります。


 軸足の蹴りがいくら強くても重心と前足の位置関係が悪ければ、せっかく得た、体が前に進む運動エネルギーが無駄になってしまいます。
 これは打撃でも言えることです。ホームランバッターは前足と後ろ足の間に重心があり、両足とも強く蹴っているので骨盤が完全に前を向くまで勢い良く回転しています。
 強い打球を打てない打者は重心の位置が両足を結ぶ線からずれて、重心の位置が止まらず流れていて、骨盤が回転せず腕だけで打っています。
 
 以上が、重心の位置がいかに大事かの理由です。

 
Posted by sh at 2013年02月08日 02:31
マーク・バーリーやクリフ・リーは体が流れるフォームでないのにもかかわらず怪我が少ないのはなぜでしょうか?
Posted by at 2013年03月03日 22:22
球児は横振りで結果が出なくて
縦振りに替えて成功したんだけどな
Posted by at 2013年03月23日 04:42
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