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2013年05月11日

松井裕樹投手の投球フォームと大リーグで主流の投球フォームとの比較

 松井裕樹投手が昨年の甲子園で江川投手の1試合の三振記録を破る22三振を記録したのを知ったのは、つい最近です。その投球フォームは日本では珍しく、大リーグで主流の投げ方に似ています。

松井裕樹投手、昨年2012年の甲子園大会前の予選の成績
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四球率4.3/9回、三振奪取率13.2/9回

 今は西武ライオンズの菊池雄星投手が甲子園で時々大リーガーのような投げ方をしていたのですが、松井裕樹投手は全投球が大リーガーのような投げ方をしています。

 松井投手の今後の活躍次第では日本の投手の投球フォームも大きく変わる可能性があると思います。

 その投球フォームを大リーグの投手と比較しながら分析してみたいと思います。

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松井裕樹投手(左腕)の特徴

@ボールをリリースした後、大きく体が3塁側に流れる

 これは今まで甲子園では見なかったフォームで、日本の野球にとっては歴史的な光景でした。

A腕の水平からの角度は大きく、腕を投げ下ろすような投球フォームです。

 これは大リーグのオーソドックスなオーバーハンドスローによく見られます。

B左肩を下げて上体を後ろに反らせながら前足を振り出している。

 これは大リーグで昔行われていたハイ・キック投法(膝を伸ばしたまま前脚を高く上に上げる)でよく見られました。現在の大リーグでも程度は小さいけれど投球側の肩を下げる動作を行っている投手はいます。昨年サイヤング賞を受賞したアメリカンリーグのデイビッド・プライスDavid Priceもその一人です。今年活躍している(5月11日現在、6勝0敗)ボストン・レッドソックスのクレイ・バックホルツClay Buchholz 投手もそうです。上体をスウィングして肩を縦に回転するために有効な動作です。縦回転と横回転を加えたスリークォーターの投手には特に有効だと思います。

C腕のスウィング速度が速い、一塁側に向いていた上体が、一瞬にして3塁側に向く

 これは下半身を十分に利用している(軸足の蹴りが強い)結果だと思います。

 松井裕樹投手の投球フォームの特徴は、上体の軸を大きく3塁側に傾けているので、ボールのリリース後、体が大きく3塁側に流れています。上体の軸がもっと垂直に近かったらと仮定すると、オーソドックスな投球フォームであり、こういうフォームをした大リーグの投手を挙げるとすると、日本に縁のあるウォーレン・スパーンがいます。スパーンは大リーグの左腕としては最多の363勝(大リーグ歴代第6位)を挙げています。しかも第二次世界大戦に出兵して3年間を棒に振っての成績です。それがなかったら400勝は超えていて歴代2位のウォルター・ジョンソンの417勝に迫っていたでしょう。スパーンは1975年に広島東洋カープの春季の臨時コーチを勤めたことがあります。

ウォーレン・スパーンWarren Spahnの投球フォーム
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 松井投手のようにボールのリリース後、体が大きく3塁側に流れる大リーグで今年活躍している左腕投手を1人挙げてみましょう。
 アリゾナ・ダイヤモンドバックスの若手パトリック・コルビンPatrick Corbin(23歳)です。5月11日現在5勝0敗、防御率1.75の成績を残しており、今やエースとなった感じです。今年の四球率2.3/9回、奪三振率7.0/9回と制球も優れてます。

パトリック・コルビンPatrick Corbinの投球フォーム
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松井裕樹投手とパトリック・コルビン投手のフォームの比較

 まず、腕の角度(水平からの)がコルビン投手の方が小さく、コルビン投手は肩の横回転が主体で、ランディー・ジョンソンの投球フォームに少し似ています。松井投手は肩の縦方向の回転が主体で、横方向の回転は小さいです。

 肩の横方向の違いを生み出している大きな要因は骨盤の回転です。

 コルビン投手は軸足の蹴り始めからすぐに股関節の回転(外旋)を行いながら、骨盤を回転させています。そのため、肩の横方向の回転が速く、腕の角度も水平に近くなっています。

 一方、松井裕樹投手は軸足を蹴るときに、股関節を回転させず、外転だけで両脚を広げる動作だけしか行っておらず、骨盤は回転させないで前脚を踏み出しています。そして、前足が着地してから本格的に腰の捻りを戻している(腰の回りの筋肉で)ように見えます。股関節をあまり使っていないので骨盤の回転は速くはありません。ただし、骨盤は回転していかないけれども、上体を前に移動させるための軸足の蹴りは強いように見えます。この軸足の蹴りの強さが松井投手の優れている点だと思います。

 松井投手は上体の軸が大きく3塁側に傾いているので、ボールをリリースした後、上体に働く重力のため、上体を3塁側に回転させようとするトルク(回転力)が働きます。そのため、上体の横方向の回転が加速され、骨盤との間に捻れが生じているのが動画からもわかります。上体の横方向の回転に引きずられるようにして骨盤が回転しています。そのため左脚が遅れて付いて来ています。

 コルビン投手の場合は骨盤を積極的に回転させているので、腰の捻れが見られず、流れるようなフォームになっています。

 松井裕樹投手とコルビン投手は共によく変化するスライダーを投げています。その要因は?

 2人とも肩が直線的な動きをしておらず、向きはそれぞれ違いますが、円軌道を描いているからだと思います。ランディー・ジョンソンも円軌道を描くフォームでした。そのため、握りの中心を外に少しずらすだけで自然とボールに回転がかかるので、よく変化するスライダーを投げれるのではないかという気がします。

 松井投手の投球フォーム、投球内容で気になる点

@前腕の遅れ(レイバックlay back)が大きい

前腕が後に大きく倒れている(レイバックlay back)
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前腕の遅れ(レイバックlay back)肘の故障につながります。将来、内側側副靭帯を損傷する危険性が高くなります。

 この原因はテイクバックで肘を大きく背中側に引いている(肩甲骨が後退)からです。そのため肘が先行して前腕が遅れてしまいます。これは腕がしなるような投球フォームのことです。当面は打者を打ち取るのに良い結果が出るかもしれません(タイミングが合わせづらいので)が、長い目で見ると肘の故障につながるフォームです。将来トミー・ジョン手術が必要になる危険性があります。

 テイクバックで肘を大きく背中側に引いている
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A腕の角度(水平からの)が大きい
 オーバーハンドスローは肩、肘を故障しやすいのですが、腕の角度が上体の軸となす角度が90度よりも大きくなるほどその危険性が高くなります。

 松井投手の腕の角度
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 腕と上体の軸がなす角度は90度よりも少し大きい程度で極端ではありませんので、問題とはならないでしょう。ウォーレン・スパーンと比べても大きな違いはありません。

B球が高めに浮き制球が悪い

 左肩を下げて上体を後ろに反らせながら前足を振り出しているのと、前腕の遅れのために球が高めに浮くのではないかと思われます。
 テイクバックで肘を背中側に大きく引くのはやめて、上体を後ろに反らせる角度を小さくし、軸足側の股関節の回転(外旋)を使って骨盤の回転をもっと速くすれば制球は良くなると思います。
 このようにすると、必然的に腕の水平からの角度は小さくなります。肩の縦回転は減り、横回転が増えるためです。
 テイクバックで肘を背中側に大きく引くのをやめると球速が落ちるのではないかと思うかも知れませんが、ダルビッシュ投手もバーランダー投手も背中側に肘を引かないで速い球を投げています。肩甲骨を後に引くよりも、その分、股関節を使って骨盤を速く大きく回転させたほうが怪我もせずに球速も上がります。

  
posted by HANG IN THERE YU at 22:18 | Comment(2) | TrackBack(0) | MLB | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

マリアーノ・リベラが1年前に怪我をした場所で見たものは?

 マリアーノ・リベラが昨年膝の怪我をしてから早くも1年が過ぎました。リベラは現役に復帰して順調にセーブを稼いでいます。その怪我をした場所にリベラは戻ってきましたが、思わぬものが待ち構えていました。

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SPORTS SNIPより引用)

No “Mo” Zone: Yankees teammates prank Mariano Rivera with body outline in return to Kansas City
ノー”モー”ゾーン:ヤンキースのチームメートはカンザスシティに戻ってきたマリアーノ・リベラに、体の輪郭を描いて悪ふざけをしました
※”モー”はリベラのニックネーム

It was just over one year ago, May 3, 2012 to be exact, that Mariano Rivera sustained a torn right ACL while shagging flyballs at Kauffman Stadium in Kansas City.
リベラがカンザスシティーのカウフマンスタジアムでフライの捕球をしているときに、右の前十字靭帯を断劽したのがちょうど一年前(正確には2012年の5月3日)です。


On Friday, Rivera returned to the scene of the crime, so to speak, for the first time since suffering the career-altering injury that required complete knee reconstruction and ended up costing him the final five months of the 2012 regular season − including a return trip to Kansas City for the all-star game − plus the postseason.
リベラは、膝の完全修復が必要な、選手生命を脅かすような怪我をして、2012年のレギュラーシーズンの残り5ヶ月を棒に振りました。オールスターゲームのために再び戻ってくることも、ポストシーズーン(プレイオフ)を迎えることも出来なくなりました。そして、それ以来はじめてリベラは、いわば、事件現場に戻ってきました。

Naturally, this was going to be one of the bigger stories of the night considering Rivera’s stature, the nature of the injury and the remarkable comeback he’s made over the past 12 months, but some of his Yankees teammates decided to make the moment a little more light-hearted by playing a classic prank on the legendary closer.
当然の成り行きとして、リベラの名声、怪我の状況、過去12ヶ月にわたり見事なカムバックを果たしたことを考えれば、今夜はもっと大きな催しになるはずでした。しかし、ヤンキースのチームメイトの何名かは、伝説的なクローザーに昔から慣習的に行われている悪ふざけをして、この特別な時を少しばかり、もっと陽気なものにすることに決めました。


When Rivera took to the outfield to continue his shagging routine − that’s right, the injury hasn’t deterred him one bit − waiting for him was a chalk outline of the spot he laid crumpled up after his knee gave way on him. There’s also a sign declaring the space a “No ‘Mo’ Zone” with some accompanying caution tape and a stop sign.
リベラがいつもの外野での捕球練習を続けるために外野に着いたとき(そうです、怪我で彼はひるむ事はなかったのです)、彼を待っていたものは、膝から崩れ落ちて、横になってのた打ち回った場所のチョークで書いた(体の)輪郭だったのです。「注意」と書いたテープと「止まれ」というサインを伴って、この場所を「ノー・’モー’・ゾーン」と命名しているサインもあったのです。
※ALTOはスペイン語で「止まれ!」という意味です。背の高いという意味もあります。
CAUTION:注意

Great stuff. We don’t know yet who exactly was behind the well thought out prank, but we certainly take our hat of to them.
見事な出来映えです。良く考え抜かれた悪ふざけを誰が思いついたのかまだわかりませんが、これには敬意を表したいと思います。

As evidenced by the photo, Rivera was happy to laugh it off as well, but quickly returned to business as usual.
写真から明らかなように、リベラも同じく笑い飛ばしました。しかし、すぐにいつも通り自分の仕事に戻りました。

Mariano Rivera just wandered out to the chalk outline of a body on the warning track. He laughed and returned to shagging fly balls.
マリアーノ・リベラは、ウォーニング・トラック上にチョークで書かれた体の輪郭のところに、ちょっとウロウロとやってきました。彼は笑いました。それから外野フライを捕球する練習に戻りました。

− Bryan Hoch (@BryanHoch) May 10, 2013
posted by HANG IN THERE YU at 19:56 | Comment(1) | TrackBack(0) | MLB | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年05月07日

ダルビッシュはアメリカンリーグで最も打つのが困難な投手である

 ダルビッシュ投手は今やアメリカンリーグを代表する投手になった感じです。

 ESPNの記事からもダルビッシュの凄さがわかります。

Yu Darvish is AL's nastiest pitcher
ダルビッシュはアメリカンリーグで最も打つのが困難な投手である

May, 6, 2013
MAY 6
12:00
PM CT
By Jean-Jacques Taylor | ESPNDallas.com

ARLINGTON, Texas -- The best way to determine which major league pitchers have the filthiest stuff is to examine how many times hitters swing and miss.
アーリントン、テキサス -- 大リーグで誰が最も打ちづらい球を投げるかを決める最も良い方法は、何回、打者がスウイングをして空振りしたかを調べることです。

Right now, Yu Darvish is easily the American League’s best.
現時点では、ダルビッシュが断然アメリカンリーグで最高です。

Hitters have swung and missed at a league-leading 135 of his pitches. Seattle’s Felix Hernandez and Detroit’s Justin Verlander each have 92. Boston’s Ryan Dempster is fourth with 89 and Detroit’s Max Scherzer is fifth with 87.
打者はダルビッシュの135球をスウィングして空振りしました。これは大リーグでトップです。シアトルのフェリックス・ヘルナンデスとデトロイトのジャスティン・バーランダーはそれぞれ92回です。ボストンのライアン・デンプスターは第4位で89回です。そして、デトロイトのマックス・シェルザーは第5位で87回です。

If we’re talking swing and miss percentage, then Yu is really off the charts. Batters have swung and missed at 40.7 percent of his pitches this season. Toronto’s Steve Delabar is second at 36.8 percent and Dempster is third at 34.4 percent.
スウィングして空振りする率でみると、ユウ(ダルビッシュ)がまさに飛びぬけています。打者は今シーズン、ダルビッシュの投球の40.7パーセントをスウィングして空振りしました。トロントのスティーブ・デラバーが第2位で36.8パーセント、そしてデンプスターが第3位で34.4パーセントです。

Darvish leads the AL with 72 strikeouts in just 45 2/3 innings. As you would expect, he leads the AL with 14.19 strikeouts per nine innings.
ダルビッシュはわずか45回2/3イニングで72三振とアメリカンリーグでトップに立っています。みなさんが想像するように、彼は9イニングで14.19三振を奪い、アメリカンリーグでトップに立っています。
posted by HANG IN THERE YU at 21:57 | Comment(1) | TrackBack(0) | MLB | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする