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2013年01月24日

ブルワーズ青木選手の打撃分析

 ブルワーズの青木宣親選手は日本のプロ野球(ヤクルト)8年間の通算打率が.329で首位打者3回、シーズン200安打以上を2度記録して、打率実績ではイチロー選手に次ぐ成績を残して大リーグに移籍しました。
 そして1年目のシーズン、打率.288、10本塁打、2塁打37、3塁打5、50打点、81得点という成績を残しました。シーズン当初はレギュラーではなかったのですが、すぐにレギュラーに定着し、日本での実績通り、良い成績を残しました。身長は175センチ、体重は82キロと小柄ですが、長打力のある所も見せてくれました。ただ、打率が3割に届かず本人としても残念だったようです。

 青木選手の打撃フォームの分析をしたいと思います。

 基本的にイチロー選手を手本にしたバッティングスタイルです。体の重心が一塁側に流れながら打つ感じで、一塁に走りながら打つ、内野安打を狙ったバッティングスタイルです。
 実際、青木選手の2012年度の内野安打数は34で大リーグトップでした。内野安打率は13.5%でこれも大リーグトップでした。イチロー選手の内野安打数は29で5位、ヤンキースのショートのデレク・ジーター選手は30で3位タイでした。

イチロースタイルの青木選手の打撃フォーム@、3塁ゴロ、2012年7月29日
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イチロースタイルの青木選手の打撃フォームA、浅いレフトフライ、2012年7月29日
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打撃フォーム@、Aとも体の重心が両足を結んだ直線上から離れていて腰が引けているので、下半身が回転せず、骨盤が投手方向まで回転して行きません。腕だけで打っているので打球の速度が鈍く、ヒットになりませんでした。

イチロー選手の打撃フォーム
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青木選手よりも体の重心が両足を結んだ直線から離れていないので、骨盤は青木選手よりも良く回っている(へそが投手方向近くにまで回転)ので鋭い当たりになりました。

 しかし、青木選手がホームランを打ったときの打撃フォームは違っています。内野安打を狙ったフォームではなくホームラン打者の打撃フォームです。体の回転を使って打っています。体の重心が一塁側にほとんど流れておらず、重心が動かず、重心を通る回転軸を中心に体を回転して打っています。骨盤が完全に前に向くまで体を十分に回転しています。通算756本塁打の大リーグ記録を持ち、大リーグ最強打者と言われているバリー・ボンズのような打ち方です。

バリー・ボンズ・スタイルの青木選手の打撃フォーム、6号ホームラン、2012年7月29日
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 バリー・ボンズの2004年シーズンの成績を見てみましょう。四球232、敬遠120、出塁率.609でいずれも大リーグ記録です。この記録はもう破られない気がします。相手の投手は完全に勝負を避け、ストライクゾーンにあまり投げてきませんでしたが、それなのに.362という高打率を残しています。

バリー・ボンズのホームランを打ったときの打撃フォーム
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青木選手よりもさらに1塁側に体全体が回転しています。また回転速度も速いです。前足の踏み出しも小さくコンパクトで素早い打撃フォームです。大リーグ史上最高の、理想的な打撃フォームだと思います。

バリー・ボンズの打撃フォームの特徴

@ボンズのバットのスウィングが素早い一番の要因は、両足を投手方向に一瞬にして捻りながら素早く強く短く蹴っている点です

A歩幅スタンスが狭く、前足のステップも小さい。
 歩幅が広すぎると、後ろ足に体重が乗りづらく、体全体を回転しづらくなります。
 前足を小刻みに動かしていますが、これは後ろ足に体重がよく乗るようにタイミングを合わせているためだと思います。この動きは多くのホームラン打者に見られます。

A後ろ足の蹴りが強く、体が前に行くのを膝を伸ばしながら前足を強く蹴り、完全に止めている。
 そのためには、体の重心は前足と後ろ足を結ぶ直線上を移動し、完全停止します。この停止した重心を通る回転軸を中心に体全体が回転してゆきます。回転軸が動かないで打っているので頭の動きもなく目線が安定しています。

 青木選手はバリー・ボンズのようになりたいと言っており、カウントが有利になった場合には、イチローからバリー・ボンズに打撃スタイルを変更しているようです。

 これから先、さらに良い成績を残すには全ての打席でバリー・ボンズのような打撃スタイルにした方が良いような気がします。青木選手はボールにバットを当てる率は高いのですが、イチロースタイルでは骨盤が十分に回転して行かず、その結果、打球に鋭さがなく、アウトになる率が高くなっています。完全に打ち損ねた当たりが内野安打になっている状況です。
 また、ボンズ選手のように前足をあまり高く上げないほうが打率は上がるでしょう。
 
 
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2013年01月19日

大リーグで主流の投球フォームを持つ日本のプロ野球投手、西口文也

 大リーグで主流の投球フォーム、つまり投球動作の後半に体が一塁方向に流れるようなフォーム(右投手の場合)をした投手は日本のプロ野球界にはいないと思っていましたが、西武ライオンズにいました。西口文也投手です。2012年シーズンを終って通算182勝115敗の現在40歳のベテラン右腕です。

 西口投手の投球フォームを見てみましょう。

後ろからのフォーム、時速143キロ、2011年8月
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横からのフォーム@、2011年4月
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横からのフォームA、2011年6月 
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 西口投手の投球フォームは、非常に躍動感があり、歩幅ストライドが多きいのが特徴です。しかし、ストライドが大きさ過ぎて、球速が143キロと思ったほど出ていません。前足が着地した時には投球動作がすでにかなりの部分、終っており、上体は正面を向いており、上体がすでに前傾姿勢になっています。また前側の足がホームプレート方向を過ぎて、一塁側に着地しています。

 ストライドは大きければ球速が出るものではないようです。火の玉投手と呼ばれた豪速球投手のボブ・フェラーのストライドはあまり大きくありませんが、100マイルを超える球を投げていました。

ボブ・フェラーの投球フォーム、前足を着地するまで腕がまだ振り出されていません
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平均球速(初速と終速の平均)98マイル(時速158キロ)を記録したときの投球フォーム、初速は174キロだった(陸軍の計測装置で計測)
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ボブ・フェラーのストライドは大きくない
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 また、現在、公式の大リーグ最速記録105マイル(時速169キロ)を持つアロルディス・チャップマン投手はストライドが体の120%と大きいのですが、チャップマン投手もストライドが大き過ぎた時には球速は低めです。

西口投手の右腕のテイクバックが最大のときのフォーム
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このときに前足が着地するように、ストライドを小さくした方が球速は上がると思います。あるいは前足を踏み出す速度を上げ、右腕のテイクバックのタイミングを遅らせ、前足の着地とテイクバックが最大になるタイミングを合わせるかですが、ストライドを小さくした方が良いでしょう。
 西口投手はストライドが大きいためか右脚の大腿内転筋を痛めることが多いからです。
 大腿内転筋は軸足を蹴るときに膝の向きを横からホームプレート方向に向けるときに使う大腿の内側の筋肉です。ストライドの大きな投手が痛めやすい筋肉です。
 藤川球児投手もストライドの大きな投手で2012年9月に傷めたそうで大リーグでの投球に不安が残ります。
 
大腿内転筋の場所
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 他に良くない点を挙げると

@前足を着地した後も直ぐに体の重心(ヘソのあたりで腹と背中の間)が止まらず動いている
 大リーグで良い成績を残す投手は前足を着地してから、ボールのリリースまでは体の重心が止まってほとんど動きません。軸足(後ろ足)を蹴って前に体が動く直線的な運動のエネルギーを投球に必要な回転エネルギー(肩の縦回転、横回転)に変えています。重心の直線的なエネルギーは投球に役立たないからです。

 これは、軸足(後ろ足)を蹴って、体の重心が前に動くその延長線上に前足の着地点が来ていないことが大きな原因です。
 また、体を背中側に反らせるタイミングが早すぎるのも原因です。そのため前脚の傾きが大きすぎです。

A前足を着地した後、グラブを抱えた腕を脇に抱え込んでいない。
 これは多くの日本人大リーガーに見られる特徴で、上体の回転速度にブレーキがかかってしまいます。これはフィギュアスケートのスピンでは、手足を体の中心に近づけて回転速度を上げているのと同じ理由によります。

posted by HANG IN THERE YU at 13:33 | Comment(0) | TrackBack(0) | MLB | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年01月13日

怪我をしない理想の投球フォーム

 怪我をしないための投球フォームについて考えてみたいと思います。

 まず、怪我をして手術の経験のある投手の投球フォームを見てみましょう。

@松坂投手
 2011年6月、右肘の故障でトミー・ジョン手術を受けました。
※トミー・ジョン手術(英: Tommy John Surgery, 側副靱帯再建手術)は肘の靱帯断裂に対する手術術式。断裂した肘の靭帯を切除して他の部分(グラブを持つ側の手首の所の靭帯が多いようです)の正常な靭帯を移植する手術。
 1974年に最初にこの手術を受けたトミー・ジョン投手にちなんで命名されています。
 トミー・ジョンは通算288勝し、手術後も164勝を挙げ、46歳まで現役だったそうです。

投球では側副靱帯の内、尺側側副靱帯(別名、内側側副靱帯)が損傷しやすい。
投球時、尺側側副靱帯は伸び、力がかかり、悪いフォーム、変化球の投げすぎ、で損傷しやすい。
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松坂投手の大リーグデビュー戦(ロイヤルズ戦)の投球フォーム、95マイル
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 まず、気づく点を挙げてみましょう。
●軸足(右足)の蹴りが弱い点です。蹴った後、右足が引きづられるような投げ方です。

●投球が終るまで背番号が良く見える点です。腰が1塁方向に回転していきません。上体を前に倒す、つまり右肩の縦回転だけで投げています。結局、下半身を利用した投げ方ではなく、肩、肘に負荷のかかる投げ方をしていると言えます。
 肩、肘への負担を減らすには右肩の横回転を増やす必要があります。そのためには、打者から背中がよく見えるまでもっと上体を捻ることが必要です。

 

A五十嵐亮太投手
2006年27歳、右肘靭帯断裂で、トミー・ジョン手術を受ける。2007年は登板なし。
五十嵐亮太投手、2004年25歳、ヤクルト時代に3球連続158キロを記録、その3球目
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 五十嵐亮太投手も松坂投手に似た投げ方で、背番号がずっと見えており、上体を前に倒す、つまり右肩の縦回転だけで投げています。

 松坂投手、五十嵐投手に共通(日本のプロ野球投手の多くに見られる)なのが、投球後半に前脚の軸が垂直ではなく、3塁側に大きく傾いて腰のあたりが大きく3塁側に流れる点です。
 また、両投手とも前足が着地する前に右腕がすでに振り出されています。理想は前足が着地するか、その寸前まで右腕は振り出さないことです。
 松坂投手、五十嵐投手とも、右腕の振り始めが早すぎるためか、あるいは体が早くからホームプレート方向を向くためか、前足の着地位置がホームプレート方向から一塁側にずれて着地しています。そのために前脚の軸が3塁側に傾いています。

Bステファン・ストラスバーグ(ワシントン・ナショナルズ)
 MLBドラフト史上で『最高の選手』」と話題になり、ワシントン・ナショナルズに入団。2010年6月8日、大リーグデビュー。デビュー戦で14三振を奪って初勝利。 速球(フォーシーム)の平均球速は97.5マイル(時速157キロ)であった。
 しかし、8月には右肘を痛め、すぐにトミー・ジョン手術を受けました。
 復帰は2011年9月。2012年は15勝6敗、防御率3.16の好成績を残しましたが、肘への負担を考慮して160イニング制限がかかり、この年は159.1/3イニングで終了。ポストシーズンで登板できませんでした。

ストラスバーグの投球フォーム
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ストラスバーグの投球フォーム(横からの映像)
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ストラスバーグのテイクバックは小さく、投球モーションは速く、しかも球速が90マイルの後半が出て、非常に打ちづらい投手です。制球も悪くはなく、四球率/9回は2012年度が2.7、通算が2.4で、三振奪取率/9回は2012年度が11.2で大リーグの先発投手ではタイガースのシェルザーの11.08を抜いてトップ(規定投球回数には達せず)です。問題は肘、肩に負担のかかる投球フォームをしていることだけです。
 松坂、五十嵐投手と同じく、上体の捻りが少ないためか(打者に背中を十分に向けていない)前足が着地する前から右腕が前に振り出されていて、下半身を有効に利用できておらず、肩、肘を中心に投げています。体が正面を向いた時点でもまだ肘が曲がっいます。肘への負担が非常に大きい投げ方をしています。

 怪我をしない投球方法

 投手の怪我は肩、肘が多く、肩、肘に負担をかけない投げ方をすることが大事です。そのためには、肩、肘よりも強度のある下半身を十分に使う必要があります。
 
 その具体的な方法

 @上体を大きく捻り(打者に背中を十分に向ける)、軸足(後ろ足)を強く蹴る

 具体例:上原投手、足の向きを前に素早く向けて爪先で強く蹴るのがポイント
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 強く蹴るほど、体が前に移動し(直線運動)運動エネルギーが得られます。後はこのエネルギーをいかに(投球メカニクスにより)ボールのエネルギーへと変換するかです。そのためには全ての球技に共通な速いスウィングの動き(回転運動)に変換するかです。

 具体的には、いかに体が前に動く直線運動を、ボールを投げる側の肩の速い縦回転、横回転に変換するかです。選手により、縦回転が主体の投手(ノーラン・ライアン、ジャイアンツのティム・リンスカム、野茂英雄)もいれば、横回転が主体の投手(ランディ・ジョンソン、ウォルター・ジョンソン、ブレーブスのクレイグ・キンブレル、現在の上原投手)、その中間(多くの投手がこれに相当)と大リーグの投手は個性的で千差万別です。

 時代の流れとしては、オーソドックスな縦回転主体から、大リーグでは横回転を多く取り入れた投球フォームが主流になっています。その点日本のプロ野球の投球フォームは時代遅れの感じがします。球速で言えば10キロ弱、損をしているみたいです。日本人大リーガーで成功した人はみんな横回転を取り入れたフォームに修正しています。スキージャンプで言えばV字ジャンプに転向している感じといえます。

 縦回転主体では、頭が上下に動いて制球が悪くなるからです。横回転主体では今度は、頭が一塁側に動きますが、こちらの方が制球への悪影響は少ないようです。

肩の縦回転
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肩の横回転
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肩の縦回転が主体
具体例:ティム・リンスカム
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肩の横回転が主体
具体例:上原投手、ウォルター・ジョンソン、サイ・ヤング

上原投手
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ウォルター・ジョンソン、1907年から1927年まで活躍した剛速球投手。21年間で通算417勝279敗、生涯防御率2.17、3508奪三振、110完封
肘をほとんど曲げないので肘の故障とは無縁の投球フォームです。現役中も故障は無かったようです。
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サイ・ヤング、1890年から1911年まで活躍した投手で、22年間で511勝316敗、生涯防御率2.63、2803奪三振、1955年死去後の翌年1956年に彼に因んでシーズンの最優秀投手に送られるサイ・ヤング賞が制定された。
動画はないが、下の静止画はサイドスローです。サイ・ヤングはサイド、スリークウォーター、オーバーハンドと投げ分けたようです。サイ・ヤングも故障をしたことがないらしい。
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A前脚は軽く曲げて着地し、直ぐに強く蹴って伸ばす
 前脚で下半身の動きを完全に止める、つまり腰のあたり(体の重心)を一旦完全に止める必要があります。

 具体例:ジャスティン・バーランダー
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B前脚は垂直かやや1塁側(右腕)に傾ける。

 前脚の軸上に体の重心が来るような姿勢になります。回転軸上に重心がくるときが回転速度が最大になるからです。

 傾きが大きいほど上体は一塁側に回転しやすくなり、右肩の横回転が速くなる。
 具体例:デトロイト・タイガースのジャスティン・バーランダー、アロルディス・チャップマン(左腕)、黒田投手

ジャスティン・バーランダーの前脚は1塁側に傾く

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アロルディス・チャップマンの前脚は3塁側に傾く
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黒田投手の前脚は1塁側に傾く(2012年になってその傾向が強い)
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 垂直な場合は頭が左右に大きく動かないので制球は良くなります。
 具体例:ヤンキースのマリアーノ・リベラ、ジャイアンツのマット・ケイン、上原投手

マリアーノ・リベラの前脚は垂直
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マット・ケインの前脚は垂直
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上原投手の前脚は垂直(最近は1塁側に傾くこともある)
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C前足が着地するか、その寸前まで右腕を振りにいかないで我慢する

 この意味する所は、前が着地してから、上体が前に倒れる速度、上体の1塁方向への回転速度いずれも急激に速くなるためです。腕の振りが早すぎると、この2点を利用する時間が短くなり、腕を振り出す速度が加速できず、肩、肘に力を込めて腕を振り出すために故障につながります。

具体例:アロルディス・チャップマン(106マイル、時速171キロ、球場のレーダーガンの数値)
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チャップマン投手は前足を着地するまで、腕を振り出し始めていません。着地直前に、肘から手にかけての部分(前腕)を起こして手の位置を高くしていますが、肘から肩にかけては動いていません。

D前足が着地する前から、体がホームプレート方向に早くから向く(別の言い方では体が開くこと)ことがないようにする

 そのためには、右投手の場合、グラブを持っている腕、肩を3塁方向に突き出すようにし(結果として背中がホームプレート方向に向く)、前足の向きを着地直前まで3塁方向に向けておく。

 具体例:ヤンキースの大リーグ史上最高のクローザーと言われているマリアーノ・リベラ
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 以上、怪我をしないための具体的な方法を挙げましたが、これは同時にいかに速い球を投げるか、いかに制球を良くするかという、方法でもあります。
 投球というといかに腕を強く振るかというイメージがありますが、下半身をいかに有効に利用して、いかにして腕を強く振らないで済ますかということが大事です。

 投球は軸足(後ろ足)を蹴って、前足を着地した時点で、その出来不出来が決まると言っても過言ではありません。それまで腕を振りに行ってはいけないのです。上にあげた5つのポイントが守られていれば、肩が、前脚の軸上の腰のあたりを中心として、速い円軌道を描くのでボールを投げる側の腕には遠心力が働き、楽に腕は振り出されます。
 

 


posted by HANG IN THERE YU at 16:30 | Comment(5) | TrackBack(0) | MLB | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年01月03日

ダルビッシュ投手が2012年9月から別人のように調子を上げた要因

 ダルビッシュ投手は2012年に大リーグにデビューしてずっとコントロールに苦しんでいました。そしてシーズン後半になって調子を落としました。勝てなくなって防御率も一時は4点台に悪化しました。
 7月は1勝3敗、防御率5.74、8月は2勝2敗、防御率5.29でした。
 しかし、9月になって別人のような活躍をしました。
 9月は3勝0敗、防御率2.21、被打率は.160、WHIP(1イニングあたりに四球、あるいは安打で何人塁に出したか)0.74でした。

 この大躍進の要因は2つ考えられます。

@投球の球種の配分が大きく変わった。
 レンジャーズには二人の捕手がいました。マイク・ナポリとヨービット・トレアルバです。マイク・ナポリ捕手とは余り相性が良くなかったので、ダルビッシュ投手とは主にトレアルバ捕手がバッテリーを組んでいました。
しかし、レンジャーズは7月30日にシカゴ・カブスからジョバンシー・ソト捕手を獲得して、ヨービット・トレアルバを放出したのです。ダルビッシュ投手はこれ以後ソト捕手とバッテリーを組むようになりました。そして球種の配分がガラリと変わりました。

7月、8月、9月の投球の球種の配分

FT ツーシーム
FF フォーシーム
SL スライダー
FC カットボール
CU カーブ
FS スプリッター(スプリット・フィンガー・ファーストボール)
CH チェンジアップ

Type       球種
Count      珠数
Selection  配分比率
Strike     ストライク率
Swing      スウィング率
Whiff      空振り率

7月
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8月
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9月
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9月の対左打者
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9月の対右打者
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 最も多く使う球種が7月はツーシーム、8月はフォーシーム、9月はカットボールと変化しました。

 9月になって速球を主体に投げるようになりました。9月はカットボールが39.7%、フォーシームが28.3%とこの2種類の速球の合計だけで68%になりました。そして、ツーシームは7.9%と余り使わなくなりました。

 9月になってコントロールが大変良くなっています。また空振り率も各球種で良くなっています。

 ダルビッシュ投手はずっと左打者に苦しんできました。2012年の左打者に対する防御率は4.23、被打率は.231でした。一方、右打者に対する防御率は3.49、被打率は.207でした。
 ところが、9月になって左打者に対するコントロールが良くなりました。多くの球種で70%を超えており、右打者の場合よりも良くなりました。
 また、9月には、左打者に対してカーブを効果的に使いました。空振り率は28.1%と有効でした。
 
Aダルビッシュ投手の投球フォームが変わった

 ダルビッシュ投手はセットポジションから投球していますが、その際前屈みで構えるようになりました。

 ダルビッシュ投手の投球フォームの変化を見てみましょう。

2006年アジアシリーズ決勝戦
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2012年4月9日、大リーグデビュー戦(対マリナーズ)、イチローに3安打目を許す
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2012年9月ロイヤルズ戦、あわやノーヒット・ノーランの試合、2回に球速97マイルを出す
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 構えをを前屈みにしたのは投手コーチであるマイク・マダックスの弟で、精密機械といわれ通算355勝を挙げたグレッグ・マダックスでした。マダックスのフォームとよく似ています。
 前屈みにした理由は、最初から軸足である右足の爪先側に十分に荷重するためでした。そうすることで、力強く蹴りだせるのと、早いタイミングで蹴りだすことが出来るからだと思います。

 通算868号の世界のホームラン王、王選手の1本足打法の軸足を見ればその理由がよく分ります。バッティングもピッチングも軸足をいかに早いタイミングで強く蹴るかによって、打球を遠くまで飛ばせるか、速い球を投げれるかが決まるからです。王選手の軸足(左足)に注目すると、爪先側に荷重して構え、踵を上げながら素早く足の向きを前に向け蹴っているのが分ります。左足の向きは最初から少し投手側に向いているのも素早い蹴りだしを可能にしているのだと思います。これは上原投手にも見られます。

世界のホームラン王、王選手の打撃フォーム
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posted by HANG IN THERE YU at 23:37 | Comment(0) | TrackBack(0) | MLB | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年01月02日

松井秀喜引退にヤンキースは素早く反応

 松井秀喜選手が引退を発表してから、多くのメディアからたくさんの声が寄せられています。その中の一つを紹介します。


Yankees Press Release

12/27/2012 7:15 PM ET
New York Yankees react to the retirement of Hideki Matsui
ニューヨーク・ヤンキースは松井秀喜の引退にすぐに反応を示しました。

Earlier today, former Yankee Hideki Matsui announced his retirement from Major League Baseball.
今日の早い時間に、ヤンキースの選手だった松井秀喜が大リーグからの引退を発表しました。


Matsui – nicknamed ‘Godzilla’ – spent seven seasons with the New York Yankees (2003-09), combining to bat .292 (977-for-3,348) with 536 runs, 196 doubles, 140 home runs and 597 RBI.
ゴジラのニックネームを持つ松井はニューヨーク・ヤンキースで7年(2003-09)を過ごし、打率.292(3348打数977安打)、536得点、196二塁打、140本塁打、597打点の成績を残しました。


Originally signed by the Yankees as a free agent on January 14, 2003, following a 10-year career in Japan with the Yomiuri Giants, Matsui became first player in franchise history to hit a grand slam in his Yankee Stadium debut, doing so on April 8, 2003 vs. Minnesota.
読売ジャイアンツの選手として日本で10年の経歴を残した後、2003年の1月14日にフリーエージェントとしてヤンキースと最初に契約した松井は、ヤンキース・スタジアムでのデビュー戦で満塁本塁打を打った球団史上初の選手になりました。それは2003年4月8日のミネソタ(ツインズ)戦でのことでした。


The two-time All-Star (2003-04) did not miss a game over his first three years with the Yankees, playing 518 consecutive games – which remains the longest streak of consecutive games played to start a career in Major League Baseball. He also drove in at least 100 runs four times during his MLB career, including each of his first three seasons.
二度オールスターゲーム(2003-04)に出場したこの選手は、ヤンキースでの最初の3年間、休むことなく518試合連続で試合に出場しました。これは未だに大リーグで初めてプレイする選手の最長の連続試合出場記録です。さらに彼は最初の3シーズンを含め、大リーグでの経歴の中で4度100打点以上を挙げました。


In his final game as a Yankee, Matsui went 3-for-4 with a home run and 6RBI in the Yankees’ World Series-clinching Game 6 win vs. Philadelphia on November 4, 2009. The 6RBI is tied the World Series record for a single game (also the Yankees’ Bobby Richardson in 1960 and Albert Pujols in 2011), and sealed Matsui’s unanimous selection as the World Series MVP.
2009年11月4日、ヤンキースでの最後の試合となる、フィラデルフィア(フィリーズ)とのワールドシリーズ第6戦で松井は、4打数3安打、1本塁打、6打点を挙げました。この6打点というのは1試合でのワールドシリーズのタイ記録で、(他にヤンキースのボビー・リチャードソンが1960年に、アルバート・プホルスが2011年に記録しています)これによりワールドシリーズのMVPが全会一致で決まりました。


STATEMENT FROM YANKEES MANAGING GENERAL PARTNER HAL STEINBRENNER
ヤンキースのオーナー、ハル・スタインブレーナーからの声明


“Hideki Matsui, in many ways, embodied what this organization stands for. He was dedicated to his craft, embraced his responsibilities to his team and fans, and elevated his play when he was needed the most. He did all these things with a humility that was distinctly his own, which is why he was such a big part of our success and why he will always be a cherished member of the Yankees family.”
松井秀喜はこの組織(ヤンキース)の真の姿を具体的に表現してくれました。彼は自己の技術向上に専念してきました。そして、チームとファンに対する責任を快く受け入れてくれました。また、最も必要なときに自分のプレイのレベルを引き上げてくれました。彼はこれらすべてのことを、これは明らかに彼自身に備わった資質である、謙虚さを持って実行してくれたのです。このことは、ヤンキースが成功できたのは彼に負う所が大きい、また彼はいつまでもヤンキースの家族の大事な一員である、と言える理由でもあります。



STATEMENT FROM YANKEES GENERAL MANAGER BRIAN CASHMAN
ヤンキースのブライアン・キャッシュマン・ゼネラルマネージャーからの声明


“Hideki is proof that baseball is an international attraction that brings people from all over the world together in their passion for the game. He was the type of player and person you want young fans of this game to emulate. He played with pride, discipline and of course talent, and flourished when the lights were at their brightest. People naturally gravitated towards him, and that’s a direct reflection of his character. He was a true professional in every sense of the word and it feels good knowing he was able to raise the championship trophy as a member of the Yankees.”
「秀喜は、野球がこのゲームに情熱を抱いた世界中の人々を呼び集める国際的な呼び物であることを証明しました。彼は野球の若いファン達に見習って欲しいとみんなが思うタイプの選手であり、人物でした。彼は誇り、主義、さらに、もちろん才能も持って、プレイしました。そして、最も光り輝いたときには、充実した成果となってあらわれました。人々は自然に彼に引き寄せられました。それは彼の個性の裏返しとも言えます。彼は言葉の全ての意味において「真のプロ」でした。そして彼がヤンキースの一員としてワールド・チャンピョンのトロフィーを掲げることができたことは良かったと思っています」



STATEMENT FROM YANKEES SHORTSTOP DEREK JETER (Matsui’s teammate from 2003-09)
ヤンキースのショート、デレク・ジーター(松井の2003年から09年までのチームメイト)からの声明


“I’ve said it numerous times over the years, but it’s worth repeating now. I’ve had a lot of teammates over the years with the Yankees, but I will always consider Hideki one of my favorites. The way he went about his business day in and day out was impressive. Despite being shadowed by a large group of reporters, having the pressures of performing for his fans both in New York and Japan and becoming acclimated to the bright lights of New York City, he always remained focused and committed to his job and to those of us he shared the clubhouse with. I have a lot of respect for Hideki. He was someone we counted on a great deal and he’s a big reason why we became World Champions in 2009.”
「私は何年にも渡ってこのことはたびたび言ってきたのですが、それに値することなのでまた、繰り返して言います。私は何年にも渡ってヤンキースで多くのチームメイトができましたが、いつでも秀喜は私のお気に入りの選手の一人であると思っています。彼の仕事のやり方はいつの日にも印象深いものがありました。大勢のレポーターに追い回され、ニューヨークと日本のファンのために良いプレイをし、さらにニューヨークという街の目映い光に慣れるプレッシャーを受けたにもかかわらず、彼はいつも集中力を切らさず、自分の仕事とクラブハウスの仲間とかかわってきました。私は秀喜をとても尊敬しています。彼はたいへん頼りになる人でした。そして我々が2009年にワールドチャンピオンになれた最大の理由は彼がいたからです」
posted by HANG IN THERE YU at 14:23 | Comment(0) | TrackBack(0) | MLB | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする