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2012年12月27日

大リーグで主流の投球フォーム、サイヤング賞投手ジャスティン・バーランダー

 2011年、サイヤング賞、MVP同時受賞したデトロイト・タイガースのジャスティン・バーランダーの投球フォームの分析

 バーランダーは野球殿堂入り確実な凄い投手ですが、投球フォーム上どこが優れているのか探りたいと思います。

 2011年の成績は24勝5敗、防御率2.40、サイヤング賞受賞
 2012年の成績は17勝8敗、防御率2.64、サイヤング賞投票はタンパベイ・レイズのデイビッド・プライスに次いで2位でした。

 身長6' 5" =約195.6 cm
 体重225 lb =約102.1 kg

 バーランダーの2012年度の速球フォーシームの平均球速は94.8マイル(時速153キロ、大リーグ平均は92.08マイル)、ストライク率は68.9%(大リーグ平均64.4%)でした。球の回転数は2521RPM(42回転/秒)と高い方で、上原投手とほぼ同じ。空振り率は9.9%。バーランダーの球種で最も空振り率が高いのはスライダーで20.4%、次いでチェンジアップの13.8%、カーブの10.4%と続きます。ツーシームも少し投げています。
 スライダーのストライク率は69.4%と一番高く、優れています。
 四球率は2.3/9回、三振率9.0/9回

2012年度のバーランダーの投球フォーム
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右手のテイクバックは大リーグの中では小さいほうでしょう。上原投手に次いで小さいかもしれません。腕が打者からは見えず、ボールの出所が分りにくいフォームです。左足を胸まで上げて、下ろし始めてからボールが手から離れるまでが素早いです。以上2点は上原投手と似ています。

 上原投手と違う点は左脚が1塁側に大きく傾いていて、投球後半に体が大きく1塁側に向く点です。これは大リーグで主流の投げ方の特徴です。バーランダーのこの前脚の傾きは大リーグの中でも大きいほうでしょう。この傾きによって上体の1塁方向への回転を速くし、右肩の水平方向の回転を速くして、球速を稼いでいます。
 右足の蹴りによって体はホームプレート方向に向かっているのですが、左足の着地の位置がホームプレート方向よりも少し3塁側に来るので、左脚の軸が垂直よりも1塁側に大きく傾いています。

 左足の着地の位置、3塁側に着地
verlander2012front leg landing.jpg


バーランダー投球フォーム(横からの映像)

バーランダーの投球フォームで悪い点
左足の爪先が早くから正面を向いており、左膝、続いて左股関節もホームプレートの方に早くから向いてしまっており、体の開きが早すぎです。そのため左足が着地した時には右腕もすでに大分振出されており、下半身が十分に利用できていないようです。これが改善されればもっと球速が上がりそうです。

 左足が着地したときの右腕の位置、右腕がすでに振り出されている
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バーランダーの投球フォームで良い点
 前脚の膝(左膝)を少し曲げて着地した後、思い切り伸ばして腰の辺り(重心)が前に行くのを完全に止め、上体が前に倒れるのを利用して、左腰を中心に右肩を前に回転させています。また、左の股関節が2塁側に押し戻されて、腰の回転を助けています。上原投手と似ていますが、上原投手の方がもっと左足の蹴りが強いのか体が浮き上がって、空中で体を回転させているように見えます。
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上原投手の前足の蹴りは強い
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軸足(後ろ足)の蹴り方は、平均的な出来で、蹴り出しの速度はチャップマン投手、上原投手ほど速くはなさそうです。

posted by HANG IN THERE YU at 06:42 | Comment(1) | MLB | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年12月23日

英語表現down the stretch(終盤に)

down the stretch(終盤に)

 この英語表現は今年、記憶に強く残りました。大リーグの2012シーズンの終盤に、イチロー選手と上原投手が大活躍をした時に使われていたからです。

 stretchは伸ばすという意味がありますが、競馬場で第4コーナーを過ぎて馬達は脚を大きく伸ばしてスピードを上げます。それで、競馬場の最後の直線コースの部分をstretch(home stretchともいう)というようです。これを大リーグのシーズンに置き換えると、シーズン終盤(9月以降のこと)になります。

 down the stretchで直線部分を下るときに、つまり、野球表現では、シーズン終盤に、と言う意味になります。

 この表現はイチロー選手がニューヨーク・ヤンキースと新たに2年契約を結んだときに使われていました。イチロー選手はマリナーズからヤンキースにトレードされましたが、当初はあまり大きな期待はされていませんでした。しかし、9月以降大活躍をしました。9月の成績は、打率.385、11打点、3四球、11盗塁でした。

Not much was expected. His best days had seemingly passed. Yet in a 67-game stint, Suzuki hit .322 with five home runs and became one of the Yankees’ most reliable players down the stretch.
多くは期待されていませんでした。彼の全盛期は見るからに過ぎ去っていました。それでも、鈴木は67試合という限られた期間に、打率.322、5本塁打を残し、シーズン終盤にヤンキースで最も信頼できる選手の一人になりました。
expect   期待する
Yet    しかしながら、それでも
best days  全盛期
pass    過ぎる
seemingly  表面上は、うわべは
stint    一定期間の仕事、割り当てられた仕事
became    になった、become(になる)の過去形
most     最も
reliable   頼りになる

イチロー選手は9月に大活躍をして週間MVPを獲得しています。

Ichiro's big week09/23/1204:24
イチローが大活躍した一週間(動画)
Ichiro Suzuki is tearing it up over a five-game span, going 14-for-20 with seven runs, five RBIs, three doubles and two homers
鈴木イチローは5試合に渡って、20打数14安打、7得点、5打点、2塁打3本、2本塁打を記録しひたすら活躍しています

tear it up 貪欲に何かをする:主に酒とセックスに使われるようです
run   得点
RBI   打点:run batted inの略
double  2塁打
homer   本塁打

 また、上原投手はシーズン前半を側背筋の故障で棒に振りましたが、シーズン後半に復帰して調子を上げ、9月以降は登板するたびに、1イニングで2個、3個と三振を取る大活躍をして、今シーズン、自己最高の防御率1.75を残し、ウィンター・ミーティングでも大人気となり、レッドソックスに移籍することになりました。
上原投手の9月の成績は、9回1/3イニングで、失点0、1安打、1四球、17三振でした。

 デトロイト・タイガースも興味を持っていたようです。その中の記事でこの表現が使われていました。

Uehara pitched well down the stretch for the Texas Rangers last season and will be a nice piece for someone's bullpen in 2013.
上原は昨シーズンの終盤に、レンジャーズで大変良い投球をしました。だから、2013年はどのチームのリリーフ投手になっても良い活躍をするでしょう。

pitch  投げる
bullpen ブルペン、リリーフ投手陣
piece  一部、選択肢

Why should we care?
どうして(上原投手を)気にかけるべきか?
Uehara was a monster down the stretch in 2012 for the Rangers, allowing just two earned runs in 14 2/3 innings in August and September after returning from an injury.
上原は2012年の終盤に、レンジャーズで怪物のような活躍をみせました。彼は、怪我から復帰して以降、8月、9月に14回2/3イニングでわずか2自責点しか許しませんでした。

care    気にかける
monster   怪物
last season 昨シーズン
allow    許す
earned runs 自責点
August    8月
September  9月
return    戻る
injury    怪我

 上原投手2012年最後の登板は、オリオールズとのワイルドカードの試合で、古巣のオリオールズに対して三者三振に仕留めました。これがレンジャーズでの最後の登板にもなりました。
Uehara fans side10/06/1200:41
上原三者三振を奪う(動画)
10/5/12: Koji Uehara strikes out all three batters he faces to keep the Rangers within striking distance in the eighth
上原浩治は8回に対戦する打者3人全てを三振に取り、レンジャーズを射程距離内に保ちます

fan    fanは扇風機、扇ぐという意味があり、これから、空振り三振を奪うという意味にも使われます
side     イニングの表、裏のいずれか
strikes out 三振を奪う(三人称単数)
faces    対戦する(三人称単数)
keep     保つ
within striking distance 射程距離内に:withinは以内に、strikeは打つ、distanceは距離
posted by HANG IN THERE YU at 19:27 | Comment(0) | TrackBack(0) | 野球で学ぶ英語 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

火の玉投手ボブ・フェラーと大リーグ最速記録投手アロルディス・チャップマンの比較

 日本で火の玉投手と言えば元阪神、現カブスの藤川球児投手ですが、大リーグで火の玉投手といえばボブ・フェラーが有名です。1936年に17歳で大リーグデビュー。いきなりデビュー戦で15三振を奪い、その年に1試合奪17三振も記録しました。ノーヒット・ノーラン3回、1安打ピッチング12回記録(大リーグ最多)。18シーズンに渡ってインディアンスでプレーし、通算266勝、2581奪三振を記録。

 1946年、米軍が協力して行なった球速測定機を使った実験では、初速117.2マイル、終速98.6マイル、平均で時速107.9マイル(時速174キロ)を記録したそうです。精度に誤差があったとしても、現在の大リーグ最速記録を持つシンシナティ・レッズのアロルディス・チャップマン投手の初速105マイル(時速169キロ)は出ていたのではないでしょうか。

 100マイルを超える球を投げるために必要なものは?

 ボブ・フェラーとアロルディス・チャップマン両投手の投球フォームに共通するものを探れば、その答えがわかるはずです。

@前側の足が着地するまでテイクバックした腕を振りにいかない
 ボブ・フェラー
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 アロルディス・チャップマン106マイル
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 ボブ・フェラーは投球のデモンストレーションのビデオを残していますが、その中でこのことについて触れています。
Notice that even though the stride has taken place,the pitching arm still remains far back of the shoulder.
前足が着地したにもかかわらず、投球する腕はまだ肩のずっと後ろ側に残っていることに注目してください。
You pitch against the stride,not with the stride.
前足が着地するまで投げるのを我慢しなさい、前足を踏み出しながら投げてはいけません。

ボブ・フェラー
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ボブ・フェラー、1946年米軍による球速測定、平均球速107.9マイル(時速174キロ)
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アロルディス・チャップマン、球速106マイル(時速171キロ)(非公式、レーダーガンによる測定)
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2012年夏の高校野球予選で時速160キロを出したときの大谷翔平投手の投球フォーム
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前足が着地するまで右腕を振り出さないで我慢していますが、ボブ・フェラー、アロルディス・チャップマンと比べると、まだテイクバックが小さいです。両投手とも相手打者に背中を大きく向けるぐらいテイクバックが大きいです。大谷投手はグラブを持っている側の左肩をもっと3塁側に突き出すようにすれば、右腕のテイクバックが大きくなり、もっと球速が上がりそうです。

球速とストライド(歩幅)の関係

 前足を大きく踏み出すほど(ストライド、歩幅が大きい)球速が上がりそうな印象を受けますが、歩幅が大きことは100マイルの球を投げるための必須条件ではないようです。@の要素の方が大事なようです。
 歩幅を大きく取りすぎると、どうしても前足が着地する前に腕を振りはじめてしまいがちになります。それよりも、歩幅は小さめでも確実に前足を着地してから腕を振りはじめたほうが、球速は上がるし、制球も良くなり、肩、肘への負担も小さくなると思います。

身長193センチのアロルディス・チャップマンは歩幅が大きい
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身長183センチのボブ・フェラーの歩幅はあまり大きくありません
bob feller stride.jpg
posted by HANG IN THERE YU at 08:58 | Comment(0) | TrackBack(0) | MLB | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする